無知蒙昧なセンテンス

その辺の社会人が色々なものの言語化を試みる場です。

Undertale面白かったです

最初の最初に………

感想=主観です。



最初に………
よう。


もしプレイしてない人がいるなら、そして20時間程度(最低限5,6時間でもいいです)の時間を作れるのであれば、是非ともこの記事を読まずにプレイしてもらいたいです。Undertaleというコンテンツに、この記事で初めて触れるのは勿体ないと思うので。なるべく事前知識のない状態で直に作品に触れて欲しいので。

と言っても好みとか興味は人それぞれだし、あんまりプレイしてほしいって言ってもうるさいのでこれくらいにしておきます。
以下、感想です。














感想(浅め、ネタバレ少なめ)
ニャハハのハ



元々BGMだけはそこそこ聞いていたこともあって、音楽がめちゃくちゃ良かったです。所謂レトロゲーム風のBGMで、同じくレトロゲーム風のグラフィックにピッタリはまります。最近のめちゃくちゃ凝ったグラフィックのゲームも圧倒されますし迫力満点ですが、レトロ感で統一されているのもきれいで風情があるし、全く時代遅れな感じはしませんでした。

そして何よりキャラがいいです。出てくるキャラクターがみんな個性的で、新しいキャラが出るたびに楽しめました。ちなみにここで言うキャラクターってのは他のゲームなら全く気にも留めずに倒してしまうようなモブい敵も含め、全員です。ストーリーの軸に関わるキャラクターはもちろん、そうでないキャラクターもしっかり印象に残りました。これ地味にめちゃくちゃすごいと思うし、他のRPGではなかなか見られないことだと思います。

戦闘システムも特徴的で、ほとんど全ての敵との戦闘で、会話や行動など、戦闘or逃げる以外のやり取りをするコマンドがあります。このコマンドは敵ごとに違っていて、ギャグを笑う、ハミングする、なでる、帽子をとる、洗ってもらう、など本当に様々で、独特な選択肢が多いです。こうした選択肢を選ぶとキャラごとに一癖も二癖もある反応が返ってきて、戦いを通じてで各キャラの特徴ををより深く知っていくことになります。このシステムがキャラの個性をより引き立て、印象的にさせてるんだと思いますね。

ここからはもう少ししっかりと感想を書いていきます。もしもここまで読んでみてやってみたいな〜面白そうだな〜って思った人がいるなら、是非ここから先は読まないでプレイしてみて欲しいなって思います(しつこい)。いやでもここまで読んでくれたなら最後まで読んで欲しい気持ちもありますね………
任せます()















感想(浅くないめ、ネタバレそこそこめ)
いろいろあったけど じぶんは やっぱり じぶんだ。



このゲームをやってまず最初に抱き、作品を通して変わらなかったのは "RPGであってRPGじゃない" という感覚でした。
RPG、というジャンルに対してどんなイメージを抱きますか?人によって色々だと思うんですけど、個人的にRPGなら絶対にある要素として "敵を倒し、主人公がだんだん強くなっていく" ってのが挙げられるかなぁって思います。少なくとも今までやってきたほとんどのRPGゲームにはこの要素がありました。と言いつつマリオはレベルアップの概念ないな…って思ったんですけど、まあ大抵のゲームはあるんじゃないかと思います。最初強くて倒せない敵でもレベルを上げたら倒せるようになる、なんてのはRPGの醍醐味の一つじゃないでしょうか。
ところが、この作品にはそういった醍醐味がなかった。一応レベル(正確にはLOVE)やATK、DEFといったステータスはあって能力も上がっていくんですが、強くなっていく過程を楽しむという感じはあまりしませんでした。1時間程度プレイしたときに漠然と「なんか普通のRPGと違うな」と感じるようになりました。そしてその予感は確信に変わり、最後の最後まで今まで経験したことのない "異質なRPG" が広がっていきました。以下、各ルートごとに書いていきます。クリアした順番に書きます。









Nルート
おい ニンゲン。


最初にやったのがこのルートです。普通のエンディングで、特に何も考えずにプレイすると多分このルートになります。一周目だったので作品の世界観とか各キャラの独特な言い回しとかが印象に残りました。
ニンゲンがモンスターの世界に迷い込む、という設定なんですが、まず驚くのが友好的なモンスターが多いことです。最初はモンスターが全員敵でそれを倒していくようなものを想像してたんですけど、実際は親切だったり友だちになろうとしたりするモンスターが複数いて、徐々に敵であるという感覚が薄まっていきました。とはいえモンスターの世界から脱出することが目的で、こちらを敵と見なしてくるモンスターは倒しながら進めていったので、全体としては敵として見ていたのかなと思います。
NPCも含め各キャラの発言が面白くて、他のゲームではなかなか見かけないテイストの皮肉を言う奴、やけに暗い奴、つまんないギャグばっかり言う奴、無言の奴、と色々なモンスターがいました。体感では現実世界を風刺するようなNPCが結構いて、思わずふふって笑ってしまうような発言もありました。あとモンスターなのに時々「ひと」って言ってるのも面白かったです。
最後の方でモンスターの世界の成り立ちや、ステータスのLOVE(レベルに該当するステータス)やEXP(経験値に該当するステータス)の本当の意味が明かされます。この辺りでこのゲームの ""異質さ"" をはっきりと見せつけられて、思わず鳥肌が立ってしまいました。まず、世界の成り立ちを説明してくれるのが今まで戦ってきたいわゆるモブキャラだったモンスター達なんです!しかもほとんど全モンスターが順番に出てきて、少しずつ説明していく。この演出、ずるくないですか。あと完全なネタバレは避けますが、ステータスの概念が一般的なRPGと全く別の意味合いで捉えられていたのは完全に予想外でした。
そして物凄く印象的だったのがラスボスです。戦闘時のグラフィックや戦闘内外で放たれるメタ発言はトラウマ的でした。ボスの見た目はそれまでのグラフィックからは想像できないような恐ろしさがありました。ボスの発言は基本的にゲームの世界に対しての発言ではなく操作しているプレイヤーへの発言で、直接こっちに話してくる怖さがあり、嫌でも他人事じゃないんだと思わされました。ラスボスとの会話を通してお前もこの世界に関わっているんだぞという意識を深く刷り込まれた気がします。
こんな感じで一周目は世界に触れて世界を知ることがメインでした。独特な雰囲気や異質さはあるものの、この段階ではまだRPGの主人公を操作している感覚が強かったです。


Pルート
うまく いきるには「ころさず ころされず」 だよ。


平和主義者(pacifist)のルートです。このルートではモンスターはもはや敵ではなく、完全に友だちとして仲良くなる存在でした。一周目では描かれなかったより砕けたキャラクターの個性に触れることができて、どんどんモンスター達を好きになっていきましたね。
また、Nルートでは言及されなかった更なる秘密もここで明らかになります。地下世界からの解放を模索したひとりのモンスターの記録が露わになり、その中でセーブポイントで必ず出てくるとあるセリフの意味が語られます。その記録は世界の裏側、闇の部分についての記録といった感じで、生々しく不気味でした。同時に、地下世界から脱出することはそれだけモンスターの悲願なんだなと感じました。不思議なことに、その記録を見る頃にはもう自分はモンスターの中のひとりで、この世界をモンスターの立場で救うような気持ちで操作する感覚がありました。
そしてラスボス。このルートでもラスボス〜エンディングは印象的でした。ラスボス戦は、ラスボス自体が印象的というよりはエンディングへと繋がる戦闘の流れが魅力的で、ハッピーエンドへの布石がしっかりと打たれている感じがしました。3ルートの中で最もRPGらしさがあると思います(というか、他のルートがRPGらしくないとも言えます)。このボス戦を終えるとハッピーエンドが待っていて、モンスター達の念願だった地下からの脱出が叶います。ここで自由行動ができるようになるんですけど、地道に今まで来た道筋を遡って行くと、一番最初の地点、つまりこの物語のスタート地点いるのが………!めっちゃ鳥肌立ちました。一周目の最初にいたのがアイツで、ここではコイツか…と。ここ個人的にPルートで一番アツい所でした。そして、エンディング。ああ、めちゃくちゃいいゲームやん。(名前の件を除けば)綺麗に終わったな。そう思いました。
そうなんです。ここで終わったらめちゃくちゃいいゲームだったんです。ただそれはあくまで "いわゆるRPGゲーム" として、です。上手く表現しにくいんですけど、自分が今まで色んなゲームをやる中で築かれたゲームという枠の中でめちゃくちゃいいゲーム、という感じでした。これは全然悪い意味合いではなく、むしろここで終わったとしてもめちゃくちゃ評価していたと思います。でも、この作品にはまだ続きがありました。



Gルート
ケツイ


殺戮(genocide)のルートです。
純粋に気になるんですけど、このルートをプレイした人はどういう気持ちでGルートを始めましたか?NとPであれだけ綺麗に終わった物語をどういう気持ちで壊そうと思いましたか?
どれだけ世界に入り込んだか、なにを感じたかは人によるので案外なんとも思わずにこのルートを始める人もいるかもしれないですね。自分の場合、「うわ、マジか…やっていくか…」という感じで始めました。この時の感覚は鮮明に覚えています。確実に躊躇いがありました。でもその躊躇いは「さらに別のエンディングを見たい、この作品をもっと楽しみたい」という好奇心に負け、結局プレイしたんですけどね。
そして結局プレイした結果、このゲームの "異質さ" はさらに際立ち、完全にRPGの枠を超えたコンテンツとして印象に残ることになりました。

ルートを通してずっとキツかったんですけど、初めの方と終わりの方ではキツさの種類が全然違いました。

序盤のキツさは心苦しさでした。それまでモンスターと友好的に接するルートを歩んでハッピーエンドを見た直後、今度はひたすらモンスターを殺していく。メインキャラクターに限らず、あらゆるモブモンスターにもしっかりと焦点が当てられるゲームで、しかもそれら全てと友好を築き上げてきたわけです。そうやって完全にモンスター側に立っていた状態から、一転してモンスターを殺し尽くす側に立つ。ゲームをプレイしていてこれだけ罪悪感や苦しさを抱きながら戦闘するのは初めてでした。ある意味でR18のバイオレンス系のゲームよりもバイオレンスな気がします。(といってもR18のバイオレンス系のゲームはGTAくらいしかやったことないんですけど…)そして罪悪感、苦しさ、気の重さに拍車をかけるのがBGM。BGMすげぇ…って思いました。BGMが違うだけで、同じ道を歩いていてもこれだけ気持ちが暗くなるものか…と思いました。こうして全てが一変し、到底同じゲームとは思えない程に違うゲームに変わったのです。このルートの主人公は完璧な悪役でした。モンスターの世界に絶望と破滅をもたらす存在。まるで救いはない…いや、悪役なのはゲーム内の主人公ではなく、プレイヤー自身と言った方が正しいですね。N、Pルートでのメタ発言を通して、殺戮しているのはゲーム内のキャラクターではなくおまえだ、という感覚が強くなっていました。この感覚も心苦しさを助長させていたと思います。
こんな感情でプレイしてましたが、中盤からは全然違う感情になりました。というのも、、、

単純に敵がめちゃくちゃ強い!!

中盤あたりで戦った敵がめっっちゃ強くて、心苦しさはゲームの難易度的なキツさに一気に塗り替えられましたwこういう辛さがあることは全然予想してなかったです。何回もGAME OVERになりましたが、やっとの思いで倒しました。倒した時は達成感と安堵で心がいっぱいになり、完全に今までとは別のゲームをやっているような感覚になりましたね。
この敵を倒してからクリアするまでの残りのプレイ時間は、その大半がラスボス戦に費やされました(ここ妙に英文和訳感ある文になってしまった)。なので中盤以降印象に残ってるのはほとんどこの敵とラスボス戦なんですけど、このラスボスがヤバかった。中盤倒した敵よりも遥かに強かったんです…いや、マジで強かった。何も予定の無い休日を丸1日潰し、何度も何度もGAME OVERになった挙句の果てにようやく倒しました。Undertale、こんな要素もあんのか…!って思い知らされました。ただ、このゲームは戦闘がエグいだけでは終わりません。やっぱりベースにあるのはRPGで、しっかりとその "異質な物語" は続いていきます。ここでもラスボスはプレイヤーに直接話しかけてくるような発言が多く、主人公VSラスボスではなくゲームを操作するプレイヤー(自分自身)VSラスボス、という構図でした。この戦いを通して、終始悪役としてプレイする独特の重い感情だけではなく、GAME OVERになっても結局やり直せてしまうという一見当たり前のことを深く考えさせられました。結局ゲームはゲームの世界でしかないことや、死んでもやり直せるという前提で主人公を操作することを批判されたのは今までゲームをやってきた中で初めての経験でした。それまで当然のようにしてきたやり直しを批判され、そういうプレイヤーの特性を知りながらゲーム内で生きているラスボスを倒した時、(もちろん強敵を突破した達成感はありましたが、)虚しさが残りました。ラスボスですよ?普通、倒したらスッキリするはずなのに。でもこのゲームでは虚しかった。倒したのに負けたような気分になりました。それも、ゲームの主人公としてではなく自分自身が負けたような感覚です。ラスボスの言っていることは正しくて、相手の掌の上で相手を殺したような気になりました。ラスボスを倒すとエンディングを迎えます。このエンディングはハッビーエンドともバッドエンドとも形容できない感覚がありました。あと、率直に言うと、このエンディングの印象は何故かそんなに強くなくて、あんまり感想が思いつかないです。強いていえば無って感じでしょうか。そして最後に、ゲームを完全にリセットして、終わりました。


まとめ
いいか… このせかいは いきつづけるのだ…!

こんな感じで一通りプレイし終わりました。とは言っても、各ルートでまだまだ細かな分岐があったりするので、今回プレイしたのは世界のほんの一部にすぎないようです。これだけ色んな感情にさせられたのに、プレイ時間でいえば恐らく50時間もやってないと思います。そう考えると異常な密度だと思います。


ここまで読んでくださった人、ありがとうございます!
ではでは〜。