無知蒙昧なセンテンス

その辺の社会人が色々なものの言語化を試みる場です。

ラストオブアスとラストオブアス2の素直な感想

こんにちは。表題通りの感想文を書いていきます。


「素直な」と書いたのは、自分が1周プレイをした中で感じ取れた部分をそのまま書くということです。考察サイトやレビューから知ったことは加味せず、あくまで自分が体験したことのみで感想を書きます。ストーリーの構造理解が曖昧だったり理解のムラがあったりするのをそのまま文字に起こしていきます。
よろしくお願いします。以降ネタバレを含みます。



まずラストオブアスから。
2ヶ月ほど前にプレイしました。きっかけは複数の友人が高く評価していたことです。
全体的な感想は、そこそこ面白いけどハマりはしなかったという感じです。なんか気になるから毎日PS4を起動するけど、猛烈なやる気に誘われているわけではなかったです。あとラストシーンでジョエルが嘘をつき、それをエリーが察して終わるのがかなり含みを感じ、2もやりたい!という気持ちになったのを覚えています。


ストーリーで印象的なのはやはり終盤でしたが、巷で言われているほどの衝撃は受けず、あぁこれが父の愛かぁ、ぐらいのものでした。というのも、操作に意識が割かれていてストーリーの把握が若干疎かになっていたので、そもそも世界を救うためにエリーを運ぶという部分の印象が薄かったんですよね。だから世界を敵に回しエリーを助けるという構図がハッキリと頭になくて、共に旅するうちにエリーに対して愛情が芽生えたから助けたのかぁというような印象でした。
ただ、進めるうちにエリーへの愛情のようなものは自分の中にも少し芽生えていて、かなり没入性の高い作品だと思いました。パート1はこの愛情のイメージが強かったです。


戦闘は結構難しくて、割と死ぬゲームだなぁと思いました。感染者も人も強かったのですが、人の方が苦戦しました。ステルス戦闘がメインになっていて、使える武器と道具が多かったので楽しかったです。終盤は火炎放射器が強すぎてとりあえず火炎放射器の残弾確保するだけで安心感がありました。



次にラストオブアス2の感想に行きます。↓の記事で非常に丁寧に言語化されているので、質の高いレビューはそちらに任せたいと思います。

https://note.com/iriwopposite/n/n69bf0c299b79

このゲームをプレイしてまず思ったのは、「Naughty Dogイカれてやがる(良い意味)」でした。個人的にパート1よりも圧倒的に深く濃密で苦しい作品で、プレイ時間も倍くらいありました。紛うことなき名作であり、Undertale並の衝撃を受けました。プレイヤーが操作することによって物語への当事者意識が高まり臨場感や没入感が高まるのがゲームというコンテンツの1つの特徴だと思いますが、この作品はそれを巧みに使いこなしており、まさにゲームじゃなきゃ味わえない体験を味わわせてくれます。この点ではUndertaleとも共通してますね。


ストーリーを通じて、これでもかと丁寧に死と復讐が描かれていました。パート2はジョエルを殺されたエリーと、そのジョエルを殺したアビーの2人に焦点が当てられています。エリーはジョエルを殺したアビーに復讐をするため旅に出てアビーを探すのですが、このゲームのポイントはアビーにもしっかりと焦点が当たるところです。エリーの視点だけだとありふれた復讐劇ですが、アビーを操作する中でアビーの過去や彼女がジョエルを殺した経緯が紡がれます。それによりアビーもまた復讐を果たすべくジョエルを殺したことが分かり、ゲーム全体を通して複雑に入り組んだ復讐の構図が浮かび上がります。この複雑な構図が時間をかけてしっかりと描かれることで、プレイしていて復讐をする苦しさや人が死ぬつらさがドラマや映画ではなかなかないような解像度で心に投影されました。まるで自分の手で復讐をしているかのようなリアルな負の感情を感じられる、そんな作品でした。


特にゾッとしたのは死の重みに明確な差をつけているところです(ちなみに死の重みという観点で最近ゾッとした作品にチェンソーマンがあるのですが、それはまた別の話)。ベースが復讐であり感染者が跋扈する世界なので作中では多くの人や感染者を殺すわけですが、モブを殺すときと因縁のあるキャラクターを殺す時では明らかに重みが違います。モブを殺すときは特に演出もなく淡々と殺していくので、命の重みをさほど感じることなく進んでいきます。エリー編では、ジョエルを殺したときにいたキャラ≒エリーが見知ったキャラを殺すときはムービーが入り、しっかりと殺すことを自覚させられます。赤の他人よりも憎い相手を殺す方が苦しいという感覚を味わった時、あぁ復讐って苦しいんだとまるで自分事のように思いました。ここまでリアルに復讐の息遣いが感じられる作品は人生で出会ったあらゆる物語の中でも初めてでした。それだけでなく、エリー編で殺したキャラはアビー編で深堀りされ、アビーとしてプレイすることで仲の良い人が復讐に狂う殺人鬼に殺される体験をすることになります。自分の操作で人を殺して加害者になり、そのせいで自分が被害者になり苦しむ。しかもそれが驚くほどの没入感で体験させられる。この”ヤバさ”、伝わりますか?

もう一つ特筆すべきは、エリーとアビーが完全に対等なところです。それは操作する時間という意味でもそうですし、キャラクターの掘り下げ方、この二人の因縁の戦いという点でもとにかく対等です。作中で二人が直接対峙する場面が二回ありますが、一回はアビーを操作し、もう一回はエリーを操作します。そしてどちらの戦いもあと一歩のところで相手を殺しきれずに終わる。ここまで徹底して対等に描かれていることで、どちらのキャラクターにも没入してそれぞれの復讐に加担しつつ、ある意味で極めて客観的に復讐の渦を俯瞰することができました。少しでもどちらか一方を重視して描くと主人公とサブキャラという格の差が生まれてしまい、どんなに構図が複雑でも主人公視点の復讐劇になってしまいます。両方が対等に主人公でありそれぞれの人生を同じ高さから描くことで、単なる復讐劇にはならず、それを一段階抽象化して復讐とは?という問いに持っていってます。互いの復讐に十分すぎるほど没入したからこそ、ここでの抽象化・俯瞰は全く薄っぺらくならず、あまりにも濃密な中身を伴います。そして互いに殺しきれずに終わることで絶望しかない世界に一筋の光が差し、大きな空しさを伴いながら復讐の輪廻から解き放たれる。これぞトゥルーエンドそのものだと思いました。派手なギミックでもなく、おしゃれな伏線回収でもない。デカい感情にあらゆる角度から向かい合い、一つ一つの要素が緻密に積みあがっていき、最後まで全く精度が落ちることなく巨大な一つの塊となって完成する。まさに傑作です。パート1でジョエルとエリーを描き、明らかにパート2プレイ時にはエリーに肩入れしやすい状態でこれだけ対等に描き切る度胸もイカれてると思います。


とまあ語るとどうしてもストーリーの話が長くなりますが、戦闘も面白かったです。パート2は前作よりも難しく、たくさん死にました。エリー編前半の大人数の人との戦闘と、アビー編のキメラみたいな感染者には特にやられました。これはパート1もそうですが、ステルス戦闘寄りの武器と突っ込んでいくときに真価を発揮する武器、近距離・遠距離、様々な道具といったように取れる選択肢が豊富なのも楽しかったです。そして何より、こちらもパート1と同様、常に世界観に合致する緊張感を伴っているのが素晴らしかったです。



振り返ると自分はパート1はそれほどハマらず、パート2がめちゃくちゃ刺さりました。ここまで苦しみながらプレイヤーの歩みを進めるのがUndertale以来で、またこのレベルの作品に出会えてしまいました。やっぱりこういう出会いがあるから人生はやめらんねえですね。


ではでは。