無知蒙昧なセンテンス

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SEKIROのボスを大学受験に例える

こんにちは。さみっとです。

 

今回はフロム・ソフトウェア、及びアクティビジョンから販売されているゲーム作品「SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE」についての記事を書いていきたいと思います。

知ってる人は知ってると思いますが、このゲームは非常に難易度が高く、いわゆる死にゲーと呼ばれるジャンルに属するアクションゲームです。死にながら攻略法を見出す、というスタイルは開発元のフロム・ソフトウェアから出されている他作品(ダークソウルシリーズ、Bloodborneなど)にも如実に見られていて、フロム作品の特徴のひとつでもあります。自分はいわゆる死にゲーは恐らくSEKIROが初めてだったのですが、ボスを倒した時の高揚と安堵が共存するあの感覚がとても楽しく、絶妙に諦めずに続けられる難易度のおかげでクリアすることが出来ました!それどころかトロコンまでしてしまいました…

SEKIROは周りの友人も何人かやっていて感想を言い合ったりもしたのですが、その中で友人が「SEKIROはチャート式(※大学受験で使われがちな数学の参考書)と同じ」と言っていて、それに対して自分は「分かる。数学やってる時と似た感覚になったわ」と返したことがありました。このやり取りが自分の中ですごく印象に残っていて、(SEKIRO、大学受験に似てるのでは?)という1つの予感が芽生えました。

そこで今回は、SEKIROで全ボスを倒し大学受験も乗り切った身として、SEKIROに出てくるボスを大学受験でのシチュエーションに当てはめていこうと思います。それでは早速やっていきます。

※ここで言うボスは、倒すと「戦いの記憶・〇〇」がもらえるボスを指しています。

以下、常体で書きます。そしてネタバレを含みます。

 

1.鬼形部

SEKIROで最初に出てくるボス。ここでプレイヤーは初めてボス戦の醍醐味である「死にながら攻略の糸口を探す」という体験を本格的にすることになる。と同時にSEKIROの世界を初めて本格的に味わうことになる。今までの敵にはなかった強さやゴリ押しが効かないしぶとさに打ちのめされることだろう。これは完全に高校2年生になり初めて受けた全国模試に一致している。定期試験でぬくぬくと育ってきた高校生に突きつけられる膨大な試験範囲。一夜漬けや丸暗記が通用しない世界。そういう場所で、今後戦いを繰り広げることになるのだということを突きつけられる。

 

2.まぼろしお蝶

鬼形部を倒しSEKIROの醍醐味を味わったプレイヤーの前に現れる、2番目のボス。鬼形部同様初見ではおよそ突破不可能な強さを持ち、老いた見た目とは裏腹に鬼形部よりも数段階素早い動きでこちらを翻弄してくる。そしてここでプレイヤーは思い知ることになる。ボスは1回倒すだけではクリア出来ないということを。鬼形部とは異なり、このまぼろしお蝶をはじめSEKIROの多くのボスは残基数が2以上ある。そして残基数が減るほど強くなる。そう、このまぼろしお蝶戦によってボス戦の醍醐味はさらに深まるのである。それはまるで、初めての全国模試を経て受験という単語がチラつくようになった高校生に訪れる秋の模試。受験を本格的に意識してから受ける初めての模試とも言えるそれは、受験モードに切り替わった者にとっては最初の模試より楽なものになり、そうでない者にとっては最初の模試より絶望感の強いものになる。

 

3.葦名弦一郎

ボス戦を知ったつもりになった多くのプレイヤーは、ここでもう一度突き落とされるだろう。戦い方を矯正されるプレイヤーも多いはずだ。そう、「弾き」である。弾きはSEKIROの戦闘において最も重要な要素の1つで、防御と攻撃を兼ねる技術である。鬼形部、まぼろしお蝶戦において弾きは必須ではないが、この葦名弦一郎戦においてはほぼほぼ必須と言える。葦名弦一郎は弾きの概念を叩き込ませる存在なのである。それまでヒットアンドアウェイ戦法を取ってきたプレイヤーの根性を徹底的に叩き直すその様は、数学や英語だけやってれば好成績を取れた学生に理科社会という概念を叩き込ませる高3の全国模試そのものである。受験は英語だけ、数学だけでは乗り切れないのである。それを残酷に、かつ的確に教えてくれる。副教科も出来ないと、大学受験は乗り切れない────

 

4.見る猿、聞く猿、言う猿、

このボスと対峙した多くのプレイヤーは最初拍子抜けすることだろう。何を隠そうこのボス、他のボスとは戦闘形式が決定的に異なる。なぜなら死にゲーではないからだ。いわゆる死にゲーの要素は一切ないが、このボス特有のギミックや要素がある。この敵を倒すためにはそれらを見破る必要があるのだ。アクションと言うよりはRPGのダンジョンの感覚に近い。本筋とは関係ないが、それぞれの猿を倒すと屏風に絵が埋まっていく仕様は個人的にとても好きである。本筋に戻るが、形式が違い難しくはないが一筋縄では行かないボス………そう、マーク模試である。高3になった受験生に待ち受けるもう1つの形式、それこそがマーク模試なのである。難しくないからと言って決して軽視してはいけない、そういう存在である。

 

5.獅子猿(落ち谷の方)

数多くのプレイヤーに強烈な印象とトラウマ的体験を与えてきたであろうボス。そもそも自分よりもはるかに大きな敵を相手にすること自体が今までなく、それだけでも苦戦を強いられるのにあの”忍殺”フェイクである。プレイヤーを一度安心させておいて絶望の底へと突き落とす二基目。そして冷静に観察すると一基目よりは相手しやすい絶妙な難易度バランス。難易度が絶妙かどうかは諸説あるが、それはさながら夏の東大模試である。初めての志望校別模試で結果を出すためには解けない問題が多くても決して絶望してはならない。全国模試に比べ低い得点率での勝負になる東大模試では、いかに冷静に解ける問題を見極めるかが勝負になると言われている(知らんけど)。

 

6.獅子猿(首無し)

落ち谷の猿が最初から二基目のフォルムで登場する。このボス自体は一度戦っており感覚をつかめば決して難しい相手ではないため、比較的簡単に攻略できる。だがここで新たに登場する要素がある。「二体同時」である。このボス、二基目になると弟子みたいな猿を召喚するのだ。プレイヤーは比較的狭いフィールドで二体の動きを見ながら猿を攻略する必要がある。このゲーム、ボスごとに異なる戦闘要素をしっかりと用意してくるのは流石と言わざるを得ない。受験にも色々な難関要素があり、それを乗り越えたものが大学受験を制す。話がそれてしまったが、モーションが大きくて遅い首なし猿と小さくて速い猿の「二体同時」攻略は、一問一問が重く時間のかかる二次試験と限られた時間で比較的簡単な問題を数多く解くセンター(もうすぐ名前変わるけどしっくりくるからこっちの名称を使います)試験の「二体同時」攻略に完全に一致する。模試を通して受験の雰囲気をつかんだ受験生は、秋ぐらいからこの二体同時攻略を視野に入れて勉強に本腰を入れていくことだろう。

 

7.破戒僧(幻影)

落ち谷の奥に待ち構えていて、この作品にしては珍しく一基しか存在しないボス。二基以上あるボスは基本的に二基目以降新しい攻撃パターンが追加され強化されていくこのゲームにおいて、一基しか存在しないことは攻略しやすいということであり、覚える攻撃パターンも少ないということである。とはいえその攻撃パターン自体は決して易しいものではなく、中盤のボスに相応しい難易度である。そして特記すべきは(幻影)というその名前だ。そう、後々本体と戦うのである。つまりこれは前哨戦。ここまで書けば勘の鋭い読者の方は気づくかもしれない。センター試験前最後の模試、いわばセンタープレテストだ。この「前哨戦」を攻略した受験生達は、いよいよ本番へと駒を進めることになる。

 

8.大忍び 梟

しばらく猿や幻影ばかり相手にしてきたプレイヤーの前に久々に立ちはだかる人間のボスにして、主人公の義父。ストーリーの分岐点となり、エンディングを左右するこの梟戦は、個人的に印象に残る戦いでもあった。「大忍び」の二つ名を冠し主人公に忍びの作法を教えた存在ということもあって、その戦闘スタイルは主人公に似ている。忍びらしい多彩な道具を用いた戦い方は、覚えるモーションや追加効果も多く苦労するだろう。梟は体幹の回復が早く、基本的にはHPをチクチクと削ってチマチマと戦うことになり、消耗戦となる。多彩な科目をいなしつつチクチクと削っていく。削れていくのは己のメンタルか、はたまたシャー芯か、もしくは鉛筆の芯なのか。それは人それぞれだろう。それはともかくとして、模試ばかり相手にしてきた受験生の前に、満を持して本番の試験が立ちはだかる。それが、センター試験である。そしてこのセンター試験は、間違いなく受験生のエンディングを変える分岐点になる。

 

9.宮の破戒僧

幻影を倒したと思えばやはり出てきた本体。幻影と基本的には同じ攻撃モーションをしているが三基もあり、幻影である程度慣れていたとしても一筋縄ではいかないのがこのボスである。二基目、三基目共に新たな攻撃パターンが追加され、三基目に関してはそもそもの動きが大きく変わる。このボスを攻略するためには、それぞれの段階を落ち着いて処理し、三基分を見越してアイテムを管理することが必須となってくる。センター試験を終えた受験生。国立を第一志望にする受験生は、そのほとんど全員が私立大学を受験する。そんな私立大学としての役割を果たし、ラスボスへ向かう通過点として存在するのが、宮の破戒僧なのである。

 

10.桜竜

ここまで突っ走ってきた受験生は、センター試験も終わっていよいよ二次試験を受け始める。そんな受験生のほぼ全員に訪れるある種の確定イベントが、センターの自己採点である。このイベント自体に運はなく、今後の進路を明確に、そして残酷に確定づけるだけである。桜竜はまさにそんな存在だ。ストーリーの中でラスボスへの道筋を明瞭にさせる役割を果たすこのボスは、他のボスのような攻撃パターンを覚えて云々、といった攻略ではなく基本的にイベントを進めていくだけで攻略できる(若干のアクション要素、死に要素はあるが)。ここを突破したプレイヤーは、いよいよ最終決戦(二次試験)へとその歩を進めていくのである。

 

11.巴流 葦名弦一郎 / 剣聖 葦名一心

ここまで戦い抜いてきたプレイヤーは、いよいよストーリー最後の敵と対面することになる。ほとんどのプレイヤーはそれまでのどのボスよりも攻略に時間がかかることだろう。自分も一番時間のかかったボスはラスボスであった。実質残基数4は全ボスの中で最大の残基数であり、これまでで最もアイテム管理が難しく、これまでで最も攻撃パターンが豊富であり、これまでで最も隙のない敵であると言えよう。それはまさに全ボスの集大成であり、今までのボス戦で培ってきたアクションスキルをいかんなく発揮して勝たねばならない。まさに最終決戦と呼ぶにふさわしいこの戦いは、二次試験、特に科目数の多く試験時間の長い国立大学のそれである。その中でも試験科目が4科目ある東大や京大がイメージとしてはふさわしいだろうか。理系であれば国語、文系であれば数学という外野的科目を1つ攻略し、その後にいわば本番とも言える残りの3科目を攻略していく。ここを突破したプレイヤーは長きにわたる戦いに幕を閉じ、己がストーリーに1つの終止符を打つことになるのだ。

 

12.怨嗟の鬼

メインストーリーをクリアするだけであれば戦う必要のないこのボスは、それゆえに全ボスの中でトップクラスに高い難易度で立ちはだかってくる。修羅と化した元忍びに過去の面影はなく、全身に火をまとう異形の者である。隙のなさ、技の攻撃範囲、体力及び体幹のしぶとさ、残基数3、どれをとっても強いとしか言いようがなく、また他のボスとは毛色の違う攻撃が多いのが特徴だ。順番こそラスボスより前に戦う敵であるが、風格としてはラスボスをクリアした後に出てくる裏ボスのそれである。受験においても、ラスボスより後に出てくる手強い敵がいる。しかもそれは、一部の受験生しか対峙することのない相手だ。そう、国立の後期試験に他ならない。後期試験は文理が分かれていないことも多く、センター、私立、国立一次のどれとも性質の違う問題はまさに裏ボスと呼ぶにふさわしい存在である。この魔境の敵を攻略したプレイヤーは、ひと味もふた味も違う顔つきで歩み続けることだろう。

 

13.義父(過去の梟)

過去編で登場する梟。戦うタイミングはメインストーリーの途中だが、本城にいる方の梟を倒して分岐したルートの中のとあるルートでのみ出現する。ただしこれは一番標準的なルートではないため、初めから狙っていかない限りは戦わないボスだといえる。その実態は全盛期の大忍びであり、本城にいる梟よりも数段手強い。攻撃の多彩さや面倒くささに磨きがかかっており、癖の強い攻撃のオンパレードである。そんな義父戦は、国立への通過点としての私立ではなく、私立に焦点を当てた時の大学受験の感覚を想起させる。私立大学の試験問題は国立に比べ癖が強いことが間々あり、国立の難易度を超えることも珍しいことではない。そんな私立大学の試験を主眼に置く受験生は、この義父戦のような戦いを繰り広げることになるに違いない。

 

14.柔剣エマ / 葦名一心

複数のルート分岐があるSEKIROにおいて、「巴流 葦名弦一郎 / 剣聖 葦名一心」以外のラスボスにあたる存在。その構成はエマ一基+一心二基からなっており、「巴流 葦名弦一郎 / 剣聖 葦名一心」のそれに近い。難易度はやはりラスボスにふさわしく、残基数こそ一つ少ないもののストーリー途中のボスよりは攻略に苦労を要すると言えよう。「巴流 葦名弦一郎 / 剣聖 葦名一心」に比べると葦名一心の攻略難度はやや下がるものの、柔剣エマはここで初めて対峙する敵であり、一度戦って攻撃パターンが分かっている葦名弦一郎より攻略しにくいであろう。特筆すべきはやはり葦名一心の強さだ。全盛期の剣聖の姿ではないものの、剣聖よりも多彩な攻撃パターンを持ち、覚えるべきことはむしろ剣聖よりも多いようにも思える。剣聖に決して見劣りしない一心と、エマ。この二人を連戦で攻略する必要のあるこのボスは、難易度の高い筆記試験とそれに続く面接、この二つで基準を満たして合格する必要のある医学部受験に類似している。連戦を乗り越えなければ、医学部には入れないのである。

 

 

というわけで戦いの記憶・〇〇が貰える全ボスが受験に置き換わりました。やはりSEKIROは大学受験に似ているゲームであることが分かりますね。大学受験もSEKIROも、しっかりと敵を見すえて諦めずに攻略することが重要なんだと思います(知らんけど)。

ではではこの辺で〜

 

 

※多分今までの記事で一番適当に書き進めましたが、めっっっちゃ書いてて楽しかったですw