無知蒙昧なセンテンス

その辺の社会人が色々なものの言語化を試みる場です。

統計独学の道のり7

こんにちは、さみっとです。最近ブログ内でハンドルネームを自称することが減っていたので久しぶりに名乗ってみましたが、なんか恥ずかしいですね。

 

先月、統計検定1級を受験してきました。1級は去年受験して落ちており、今回が2度目の挑戦でした。

そして...合格しました!!!

特に統計数理はA評価での合格で、去年の雪辱を果たせたと思います(一安心)。

 

というわけで今回は、1級の対策としてやったことを備忘録として書いていこうと思います。

去年受けた時の記事と一部内容が被る部分がありますが、大目に見てください。

 

mutimoumai.hatenablog.com

 昨年受験したときの記事。落ちたのに「対策法」とか書いてるの恥ずかしい…

 

・資格の概要

統計検定は4,3,2、準1、1級があり(この他に専門調査士などの種類もあるらしい)、今回受けた1級は毎年一回のみ試験が開催されます。なので一回落ちると次は1年後になります(自分もそうでした)。

1級には「統計数理」と「統計応用」の2科目が存在し、それぞれ90分、完全記述式です。両科目とも問題は5題与えられ、その中から自分で好きな3題を選択して解く、という方式になっています。そのため、膨大な試験範囲をすべて深く理解する必要はなく、ある程度搾って勉強することができます(まあそれでも分量は多いし、なるべく網羅して理解できた方が確実ではありますが…)。そして、この2科目両方で合格基準を満たしてないと1級の資格はもらえません。片方だけ合格基準を満たした場合は経過措置という扱いになり、翌年以降もう片方の科目だけ受けて合格できれば1級合格、となります。

「統計応用」はさらに人文科学、社会科学、理工学、医薬生物学の4分野があり、申し込み時にあらかじめ分野を選択する必要があります。自分は理工学で受験しました。

概要はこのくらいにしておきます。さらなる詳細は公式サイトに載ってます。

www.toukei-kentei.jp

 

・対策としてやったこと

ここでは新たにやったことのみを書いていきます。以前やったことは過去記事に書いてあるので、参考までに貼っておきます。 

mutimoumai.hatenablog.com

mutimoumai.hatenablog.com

mutimoumai.hatenablog.com

 

a.『現代数理統計学の基礎』(久保川達也)

現代数理統計学の基礎 (共立講座 数学の魅力)

現代数理統計学の基礎 (共立講座 数学の魅力)

 

 

新たにやった書籍はこれだけです。そして試験勉強のかなりの時間はこれに割きました。この本は1級の対策本として各所で評価されてきていますが、やっぱりその評判は裏切りませんね。この本をしっかりとやりこむことで合格できたのだと思います。特に統計数理に関してはほとんどの範囲を抑えているといってもいいのではないでしょうか。

1~6章までは時々数式を紙に書いて咀嚼しながらしっかりと読んで、章末問題もすべて解きました。6章まで解いた後、1~6章の内容を自分なりにノートにまとめる作業もしました。この作業をすることで良い復習になり、改めて理解が深まったのでとても良かったです。特に1,2章あたりの内容は最初に触れたのがかなり前だったこともあり、記憶が薄れていたので定着が深まりました。

7,8章は元々は章末問題を解く予定だったのですが、時間が足りず文章を読んで理解するだけになってしまいました(当日統計応用で7章の内容が割ともろ出てたので助かりました…)

 

b.過去問(2016~2018年分)

日本統計学会公式認定 統計検定 1級・準1級 公式問題集[2016〜2017年]

日本統計学会公式認定 統計検定 1級・準1級 公式問題集[2016〜2017年]

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 実務教育出版
  • 発売日: 2018/03/14
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

数理的な理解の難しさという意味では、aの『現代数理統計学の基礎』で十分1級レベルに達していると思います。その一方でaだけだと計算の処理速度の面で不安が残ってしまったので、スピード意識で過去問をひたすら解きました。

本番が90分で3問解く形式なので、1問30分以内を目標にしてやりました。1年分を90分でやるのではなく、1問1問区切って解き、毎回ストップウォッチで計測してやりました。30分経ったら一度解くのを止めて、解いたルーズリーフに「ここまでで30分」みたいなメモを書いて解き切れなかった小問を解く、といった感じで進めました。また、解いた時に分からなかったことや気づいたこととかは別のルーズリーフにメモっていました。

体感ですが、2018年度は30分で解き終わらない問題が多くて、2017年と2016年は大体の問題が30分以内に解き終わっていた印象があります。17年と16年の問題は去年1級を受ける時にも対策で解いていて薄っすらと覚えていたことが効いたのだと思います。ただ、過去問を解くとき発想力よりも処理能力を上げることが重要だったので、解き方を薄っすらと覚えていたおかげでひたすら手を動かすことに専念できて、結果として処理能力向上につながったような気がします。実際過去問演習を通してかなり計算速度は上がりました。

3年分を一通り解き終わった後、一周目で時間内にあまり解けなかった2018年度をもう一度解きました。この時も解法を大体覚えてしまっていたことが逆に処理能力を上げるのには都合が良かった気がします。二周目はより実践的なやり方に変えて、90分制限で5問から3問を選んで解くようにしました。1級の試験では与えられた問題をすべて解く必要はないので、自分が解きやすい問題を見つける選球眼も重要になってきます。なので開始して最初の3~5分くらいは問題文を読むことに専念して、本番で解くときの流れを意識しました。

 

c.その他

aやbをやっている時にまとめたノートや、今までの統計検定の対策で使っていたノートやプリントをちょくちょく見ていました(今までのやつは主にHPに載っている試験範囲の中で知らないトピックについての資料)。結局当日それが活きてくることはなかったのですが、問題傾向が変わったりした時のために抑えておいて損はないように思いました。

 

・勉強時期

aを5月くらいから始めました。始めた当初はひと月に1~2章のペースで進めようと思っていて、8章の章末問題までをやろうとしていました。ですが、3章が終わった時点で10月に入り、ここから11月上旬くらいまでの間に6章まで一気にやる羽目になってしまいました…(計画性のなさ)

その後bに取り掛かり、試験前日までひたすらやっていました。過去問をやりつつaの7,8章を読んだり、すきま時間などにcの作業をしたりしました。

 

・本番

1.統計数理

とりあえず始まったら最初の5分くらいで問題文にざっと目を通し、ラインナップを把握しました。そして比較的見覚えがあって最後の小問まで解けそうな3問を選択しました(確か問1,2,3だったかな)。

問1と問2は完答でき、問3は半分くらいを解いて終了。統計数理は対策したことがしっかりと反映された手ごたえで、満足のいく出来でした。

 

2.統計応用(理工学)

お昼を挟んで2科目へ。統計数理と同様にまずは問題文に目を通しました。そして解けそうな問題を選ぼうとしたのですが、、、

解けそうなのが1問しかない...!!!!

となり、かなり焦りました。例年だと理工学分野の問題はほぼ統計数理といってもいいぐらい統計数理に問題が似ていたのですが、今年は解けそうな1問を除いて全然問題傾向が違いました…

なので、とりあえず解けそうな問1を解きました。ただこれがかなりボリュームがあって、途中の小問1つを除いて解き切れたのですが40分以上かかってしまいました。残りの4問の中で、時系列っぽいやつと直交表が載っているやつは解けそうにないのでスルー。で、自動的に残った2問を解くことに。

問2と問5を解きました。問5はカイ2乗検定の問題で、準1級を受けたころの記憶やaの7章の記憶を思い出しながら必死に埋めました。小問4の(ⅰ)までを解いて問2に行きました。この時点で残り時間が15分ほどで、問2は小問のうち4割くらいを解答して終了しました。

 

手ごたえ的には、統計数理〇、統計応用×or△、みたいな感じでした。後日模範解答を見ていたら統計応用は解けたと思っていたところで2,3か所間違えてる小問があり、これは統計応用は厳しいな、、といった感触でした。

なので合格できてマジで嬉しかったです。統計応用は記述が評価されたのもしれません。

 

・感想と今後

1級の対策をするうえで、やっぱり『現代数理統計学の基礎』は強いなぁと思いました。1~6章まででも統計数理に十分立ち向かえるだけの数理的力を養える気がします。統計応用(理工学)もある程度この本でカバーできるでしょう。ただ、今年は統計応用の傾向がガラッと変わり実質1科目とは言えなくなったので、来年以降は対策が一段と難しくなりそうですね(今年受かって良かった...)。

 

今後ですが、最近因果推論に興味を持ち始めたので岩波DS本を読みたいなぁと思っています。

岩波データサイエンス Vol.3

岩波データサイエンス Vol.3

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2016/06/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

 あとは、この辺も気になっているのでいつか読みたいですね。

新版 統計学のセンス ―デザインする視点・データを見る目― (医学統計学シリーズ1)

新版 統計学のセンス ―デザインする視点・データを見る目― (医学統計学シリーズ1)

  • 作者:丹後 俊郎
  • 出版社/メーカー: 朝倉書店
  • 発売日: 2018/11/05
  • メディア: 単行本
 
高次元の統計学 (統計学One Point)

高次元の統計学 (統計学One Point)

 

 

より数学的な方面でいくと測度論とかも気になるし、データ分析の実践面を考えるとこの辺りの本も気になります。じ、時間が足りねぇ() 

時間がめちゃくちゃあれば『現代数理統計学の基礎』の残りも手をつけたいのですが、時間が足り(ry

Python実践データ分析100本ノック

Python実践データ分析100本ノック

 
Kaggleで勝つデータ分析の技術

Kaggleで勝つデータ分析の技術

 

 

というわけで、今回は以上です。ではでは~

 

追記(2020年1月)

今回勉強をして資格を受けたのはもちろん自分一人だし好き勝手にやっている気分でいたのですが、自分から広めなくても資格を受けることは自然と周りの人に認知されていきました。資格の勉強を理由に遊びの誘いを断ることが何回かあったり、元々自分が統計関係の勉強をしていて状況を知っていたりして、気づいたら周りの人にも広まっていた感じですね。結構一人で戦っている感覚だったのですが頑張ってと言ってくれる人もいて、案外一人じゃないかもなと思うようになりました。と同時に、それなら余計にここで1級を取りたいなと思うようにもなりました。上手く言葉で言い表せないんですけど、なんというか周りに迷惑とまではいかないけどそれに通ずるものをかけてしまっているような感じですかね…そこまで悪いイメージのものでもないんですけど...

で、合格したときも人から一言声をかけられたり全然深い付き合いじゃなかった方からご飯の誘いを頂けたりして、やっぱり一人じゃないんだなって思いました。

決断と行動は一人で勝手にしたわけですけど、その過程は完全に一人ではなくて、間接的に人とかかわりながら進んでいったんだと思います。

ごちゃごちゃと書いてしまいましたが、何を言いたいかというと、

応援してくれた方、ありがとうございます!

これを言いたくて追記しました。

今後ともよろしくお願いします(おこがましいかw)