無知蒙昧なセンテンス

その辺の社会人が色々なものの言語化を試みる場です。

熊本佐賀、情報遮断の旅

こんにちは。最近はときどき関口と名乗ったりもしますが、基本的にはさみっとです。

こんなご時世なんですが、1人で旅行に行ってきました。ごめんなさい。謝りますから絶対許してください。フルリモート&ワクチン2回摂取後2週間以上経過&一人旅なので許してください。お願いします

というわけでこの記事では旅の内容を日記っぽく書いていこうと思います。(以下常体)


前置き

今回旅の目的地を阿蘇と佐賀にしたのは、熊本県佐賀県を観光したことがなかったからだ。それに、全国で一度も観光したことのない都道府県が残りこの2県だけで、ここを巡ることで全都道府県観光という実績を解除できたのだ。本来こういうモチベーションで旅するのはナンセンスな気もしたが、コンプリート欲が勝ってしまった。

それともうひとつ、この旅のコンセプトとして、「SNSを一度も開かない&本などの暇つぶしの道具を持参しない&スマホで暇つぶしをしない」というものを設定した。日々の生活で嫌でも大量の情報を摂取してしまうことに辟易としていて、本格的に情報断ちして頭をリフレッシュしようという魂胆である。情報を遮断するといっても基本的にはSNSから情報を得ないぐらいで、旅先でテレビを見たりはした。


1日目

午前中に羽田空港から熊本へ飛んだ。羽田空港に来たのは久々だったのだが、思ったより先進的になっていて驚いた。特にびっくりしたのはカームダウン・クールダウンスペースという場所で、心を落ち着けるための場所らしい。精神面にここまで配慮していてるのはすごいなと思った。もうひとつは自動運転車椅子WHILLで、指定した搭乗口まで自動で運転して運んでくれる乗り物だ。これはまさにテクノロジーの先端といった感じで、活用してみたら近未来に飛んだような感覚になってワクワクした。

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カームダウン・クールダウンスペース
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電動車いすWHILL


昼過ぎに熊本空港に着き、阿蘇へと向かった。直行のバスで行こうと思ったのだが全然来なかったので、何も考えずにタクシーに乗った。最終的に料金メーターが8000円を超えたのを見た時SEKAI NO OWARIのボーカルになりかけたが、深く考えないことでこれを防いだ。さらに調べたら空港の最寄り駅までの無料バス+鉄道で570円で阿蘇に着くことが分かったが、忘れることにした。
ただ道中で熊本地震の際に土砂崩れがあった場所を通り、タクシーの運転手さんから「ここで土砂崩れが起きて人が亡くなったんですよ」と説明を受けた時は背筋が伸びた。鉄道に乗ってたら分からなかったことだし、実際に荒々しい土砂崩れの跡を見て熊本は被災地なのだということをはっきりと実感した。こうして今熊本を旅できることをありがたく思った。

阿蘇に着き観光案内所の人に聞いた結果、阿蘇山に行くのが良さそうだったのでバスで阿蘇山に向かった。このバスはタクシーに乗らなかったら間に合わなかったバスなので、「タクシー乗って良かった〜!!」と強めに噛み締めておいた。もちろん、8000円のことは全く考えないようにした。
この日はどん曇りだったが、阿蘇山は曇りでも大満足だった。ここまでの活火山を間近で見られるのはド迫力だった。火山地帯特有の植生は木がほとんどなく視界が開けているので、周囲には雄大な自然が広がっていた。荒々しい火口と周囲の優しげな草原とのコントラストはとても美しかった。あと中学受験をしていたのもあり、カルデラというワードが懐かしかった。

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火口
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雄大な自然


駅に戻り、宿へと向かった。社会人になったということで学生の頃より1ランクグレードの高いホテルを取ったのが功を奏し、部屋、ご飯、温泉、どれも大満足だった。ご飯は和洋折衷のコースで、色々と出た中では鱸の蓼オイル焼きが特に気に入った。温泉はぬるめのお湯で好みだった。

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綾波レイに対抗してメタグロスを描いた


夜はテレビをつけつつ、予め買っておいた地酒の米焼酎とおつまみで優勝した。ちなみにその優勝の最中に1日目の日記を書いた。

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優勝の最中



2日目

前日の優勝の反動として夜間頻尿に苛まれ、睡眠の質がかなり悪かったのでめちゃくちゃ眠い朝だった。心も身体もリラックスするつもりで家を出ても、いざ旅をすると何だかんだ身体の方は持ってかれてる気がする。ホテルの朝ごはんはフルーツ→メインのプレート→デザートという不思議な順番だった。世界では初手フルーツがトレンドなのかもしれない。それと給仕の人のじぃや感が半端なかった。「お坊ちゃん」とか言われたら架空のボンボン息子の記憶が蘇ってきそうだった。

事前の読みよりも天気が良く、これなら阿蘇のもう1つのメインスポットである大観峰に行けば景色が良さそうだったが、豊肥本線に乗って熊本に行きたい欲が勝り阿蘇を去ることにした(豊肥本線は本数が少なく、大観峰に行くと接続がかなり悪かった)。

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駅前にいるロボット芝刈のあそた


豊肥本線を走る特急「九州横断特急」に乗った。同じ車両に上裸の陽気なおっさんが座っており、明らかに車掌も気づいているのに全く注意されること無く列車が進むのを見て、おおらかだなと思った。これくらい信頼されるおっさんになりたいものだ。
特に暇つぶしの手段がないのでひたすらに車窓を眺めていたが、全然退屈せずあっという間に熊本に着いてしまった。というのも、豊肥本線がものすごくアツい路線だったのだ。まず、山間部の路線にしては珍しくトンネルがほとんどなく、ずっと外の景色を見続けられた。そしてなんと言っても、阿蘇を出て少しするとスイッチバック(少ない距離で一気に標高を下げるor上げるために進行方向を逆にして、ジグザグに走るギミック)があり、当然テンションがぶち上がった。2回のスイッチバックを経ると、阿蘇特有の木々の少ない自然から少しずつ建物や木が増え、熊本に近づくにつれて大きな建物が増え、最終的に都会になる、という変化が3-40分程度の間に起こり、全く飽きないまま熊本に着いた。都市部と山間部を結ぶ路線の車窓は移り変わりが大きく、見ていて楽しい。
この旅の中で知ったが、豊肥本線は昨年全然復旧したらしく、無事に乗れて本当に良かったと思った。豪雨の影響で、九州の中では未だ復旧していない路線が複数あるらしく(ちなみに個人的に超気になってる肥薩線も復旧していない)、同時に事の深刻さも痛感した。

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豊肥本線の車窓1:夏と秋の共存する空がエモい
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豊肥本線の車窓2:徐々に木が増えていく
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豊肥本線の車窓3:最後は都市部へ


熊本といったらラーメン!ということで、熊本ラーメンを食べた。豚骨+焦がしにんにくのスープがめちゃ美味しかった。麺はいわゆる博多ラーメンより気持ち太めで、同じ九州の豚骨系でも派閥があるのかもなと思った。インドカレーみたいに北と南で違うのかな、いやでもあそこまでの差はないかもな、なんてことを考えながら替え玉までしっかりと完食した。

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熊本ラーメン「黒亭」


まだ時間があったので熊本城を観に行くことにした。熊本城もまた現在復旧中で、入場は出来ないが周りを歩くことは出来る状態だった。なので周囲をぶらぶらと歩いたのだが、この日は日差しが強くてとにかく暑かった。久々に滝汗をかきながらお城の周りを散歩した。天守閣は再建しており、とても綺麗だった。帰り際、城の警備員さんに「お城見えました。良かったです!」と伝えると嬉しそうにしていて、こちらまで嬉しくなってしまった。

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美しい天守


熊本駅をあとにし、本日の目的地である佐賀県は武雄温泉に向かった。移動中、新鳥栖駅で乗り換えの待ち時間があり少し駅周辺を散策したのだが、ドラッグストアしかなかった。本当にそれ以外何も無く、「仮にもお前新幹線が止まる駅なんだぞお前!」とツッコミを入れていた。ただ駅構内にはピアノが置いてあり、ふと現れた少女がエリーゼのためにを弾いていたのはとても良かった。

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何もない新鳥栖駅


この日のホテルは比較的こぢんまりとした部屋で、「え、2食付きとはいえこの部屋で1万円超えるの……あと佐賀県イマイチ何があるか分からん……もっと阿蘇観光したかった……熊本の馬刺し食べたかった……」と急にテンションがガタガタ落ちてきた。が、その落ち込んだテンションはこの後夕食を食べることで一気に昇天することになる。

夕食はホテルではなく、提携しているイタリアンのお店だったのだが、これが凄かった。メニューは店主のおまかせのみで、この時点で「ん、流れ変わったな…?」と思った。出てくるメニューはコースになっていて、オードブル、海鮮系のグリル、パスタ、冷製スープ、ステーキ、デザートと、どれをとっても最高に美味しかった。素敵な時間だった。普段食わず嫌いしがちな海鮮系も余裕で美味しく、この場で初めてアワビの食わず嫌いを克服した。食べ終わってお店を出る頃には「これだけの料理が食べられるなら1万超えなんて安いもんだわ」とすっかりハイになっていた。

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苦手克服につながったアワビのソテー
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(記憶が正しければ)牛フィレ肉のステーキ
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デザートはバニラアイスとパイ


余談だが、この夕食を経てかなり色んな料理ワードを覚えた。しかしながら、カサレッチェというパスタの名前は明日にも忘れてそうである。

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カサレッチェをタコのラグーソースで和えたパスタ


昨日の反省を活かし、本日はお酒を飲まずにこの日記を書いている。情報遮断して2日経ったが、SNSを開かなくても思ったより余裕で過ごせる。あと、宿で見るテレビ番組がびっくりするくらい面白い。よくあるバラエティとかでもめっちゃ爆笑している。まるで小学生の頃に戻ったようで、楽しい。
一方で、そろそろ誰かに話をしたい欲が高まってきた。元々おしゃべりなので、SNSで発信しない分が溜まってきたのだろう。


3日目

夜中にシーツごとビショビショになるほどの寝汗をかいてしまい、昨日以上に最悪の睡眠の質だった。重い身体を起こして朝食を食べた。ホテルの朝食はバイキングで、コロナ対策として各自がビニール手袋をつけて取り分ける形式だった。
朝食の時間を早めに設定しており、予定では食後に朝風呂に入ろうかと思っていたのだが、とにかく身体が睡眠を求めていたので9時過ぎまで部屋で寝てからチェックアウトをした。

電車で有田に向かった。なぜ有田なのかというと、知り合いに佐賀県って何がありますか?と聞いた時に「なんだろー、有田焼とか?」と言われたからだ。それくらい佐賀の観光地の知識がなかった。海苔とゾンビランドサガとはなわとがばいばあちゃんと佐賀北高校のイメージはあったが、いずれも観光地ではない。

有田で降りたものの有田焼以外何があるのか全然分からなかったので、とりあえず近くにあった観光案内所に入ったのだが、ここの方がとても丁寧で、どんな観光地があるのかを分かりやすく説明してくださった。レンタサイクルがあったので、自転車で有田の観光地を巡ることにした。
有田の町は端的に行って田舎だったが、よくある田舎とは違っていた。日本で最初の磁器生産の地ということで、磁石を切り崩してきた磁石場があったり、有田焼でできた鳥居があったりと、磁器と密接に繋がっていた。街並みも古い建物が多く、こぢんまりとしつつも雰囲気のある景観だった。

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泉山磁石場
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やきものでできた鳥居
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街並み
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地面にも有田焼


ひとしきり観光をした後、有田焼のタンブラーを買った。というのも先日焼酎やハイボールとかを飲む用のタンブラーを割ってしまっていて、ちょうど代わりを探していたからだ。わざわざ買う気になれず数ヶ月放置していたが、せっかくの機会なので購入した。一人呑みが捗りそうだ。

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購入したタンブラー


有田の町をあとにして空港へ向かった。空港はいい感じのお土産屋が揃っていて、この旅で自分用の土産に買おうとしてた海苔の佃煮を買った。佐賀といえばやはり海苔なのだ。
ついでに空港で食べた佐賀ちゃんぽんが美味しかった。ただ長崎ちゃんぽんとの味の違いは分からなかった。

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佐賀ちゃんぽん


飛行機に乗り、無事成田に到着した。空港も十分非日常の場所なのに、何故か到着する時はいつも日常を感じてしまう。出発する時はあんなに非日常に満ちているのに。結局どんな場所であっても大なり小なりフィルターを通して見てしまうんだよなぁと思いつつ、帰路についた。


後書き

最初は情報断ちなんてしたら暇で暇で仕方なくなるんじゃないかとか、SNSを開きたくなる禁断症状でも出るんじゃないかとか思っていたが、いざ実行してみるとそんなこと思わないどころか快適ですらあり、芯から休んでるような感覚があった。今となっては逆にSNSを開きたくない気持ちすらある。とはいえ一度開くとまた元通りになるような気もする。この情報断ちはしっかりと休める効果があったので、今後は旅行に限らず時々やっていきたい。

縛りの影響で旅行中はほぼ観光しかしていなかったが、思いのほか観光するだけでも暇にならないことがわかった。観光地の情報を調べたり移動したり、実際に観光したり買い物したりするとあっという間に時間が過ぎていった。何なら阿蘇はまだ巡り足りないぐらいである。この旅行は全県観光制覇という目的があったので色々な場所を忙しなく観光したが、今後は1ヶ所に腰を据えて旅行するのも良いなと思った。あとは何より、しっかりと睡眠の取れる旅行をしたい(切実)


というわけで、旅行記を書きました。旅先で他にやることがなかったのでかなり沢山書いてしまいましたが、夜宿でテレビをつけつつこれを書く時間はめちゃくちゃ楽しかったです。

ではでは〜