※以下の文章は、筆者が先日会社のドキュメントとして書き起こした内容をそのまま転記したものです 。
心理的安全性について言語化してみたくなったので書いてみました。
ブログのような気持ちで書いています。
心理的安全性とは
いくつか調べてみましたが概念は概ね一致しているようで、
職場などのコミュニティにおいて、誰に何を言っても、どのような指摘をしても、拒絶されることがなく、罰せられる心配のない状態
≒誰に対しても安心して発言できる状態
を指すようです。
元々、1999年にハーバード大学のエドモンドソン教授によって提唱された概念で、そこでは以下のように定義されています。
"Team psychological safety is defined as a shared belief held by members of a team that the team is safe for interpersonal risk taking."
(このチーム内では、対人関係上のリスクをとったとしても安心できるという共通の思い)
Edmondson (1999) Administrative Science Quarterly. 44(2)
2016年にGoogleがとある研究成果を発表してから、心理的安全性という概念が注目されてきているみたいです。
その研究はチームの効果性、生産性に影響する因子を突き止める研究で、心理的安全性は最も重要な因子だと述べられています。つまり、生産性の高いチームは心理的安全性が高い、ということが言えます。
チームの効果性に影響する因子を重要な順に示すと次のようになります。
Google のリサーチチームが発見した、チームの効果性が高いチームに固有の 5 つの力学のうち、圧倒的に重要なのが心理的安全性です。リサーチ結果によると、心理的安全性の高いチームのメンバーは、Google からの離職率が低く、他のチームメンバーが発案した多様なアイデアをうまく利用することができ、収益性が高く、「効果的に働く」とマネージャーから評価される機会が 2 倍多い、という特徴がありました。
逆に、個人のパフォーマンスや在職期間、仕事量はチームの効果性にあまり影響しないみたいです。
リサーチチームは、Google 社内のチームの効果性にそれほど影響していない変数も明らかにしています。
- チームメンバーの働き場所(同じオフィスで近くに座り働くこと)
- 合意に基づく意思決定
- チームメンバーが外交的であること
- チームメンバー個人のパフォーマンス
- 仕事量
- 先任順位
- チームの規模
- 在職期間
上記の変数が、Google のチームの効果性に大きな影響を与えていなかったことは事実ですが、どの組織でも同じであるとは限りません
「ぬるま湯組織」ではない
ネットの記事がわかりやすかったので、そのまま引用します
「心理的安全性」は、ぬるま湯組織とは意味合いが違う。ぬるま湯組織では、職場での緊張感がないという居心地の良さを維持するために、敢えて自分の意見を言わなかったり、相手の間違いに目をつむったりする。一方で、「心理的安全性」が高い組織では、意見の対立を決して恐れない。むしろ、間違いがあれば指摘することを良しとするだけに、コミュニケーションが活発になりやすい。
また、ぬるま湯的組織に所属するメンバーはいずれも成長意欲が低いが、「心理的安全性」では目標達成意欲が高いという違いも見られる。
比較表:心理的安全性の高い組織 vs ぬるま湯組織
| 特徴 | 心理的安全性の高い組織 | ぬるま湯組織 |
|---|---|---|
| コミュニケーション | 意見交換が活発で、反論や異論も歓迎される | 表面的な会話が多く、深い議論が避けられる |
| フィードバック | 建設的なフィードバックが頻繁に行われる | 批判を避け、ポジティブな面ばかりが強調される |
| チャレンジ | 新しい挑戦やリスクを歓迎する | 現状維持が優先され、挑戦を避ける |
| 学習と成長 | 失敗から学び、成長を重視する | 成長の機会が少なく、学習意欲が低い |
| リーダーシップ | リーダーがメンバーの意見を尊重し、支援する | リーダーシップが曖昧で、指示待ちが多い |
咀嚼
このセクションは完全に筆者の個人的な咀嚼になります。
上のセクションで心理的安全性が重要な根拠を挙げてみましたが、個人的には根拠を知る前から、直感的に大事だと思っていました。
「そりゃ、言いたいことが言える方が良いでしょ」
「だって、言いたいことも言えないこんな世の中じゃ、Poison」(ここで赤ちゃんが泣き止む)
心理的安全性は、朝PCを前向きな気持ちで開くのに必須、なんじゃないかと思います。もちろん心理的安全性が高くても業務が多すぎたらストレスだと思いますが……
基本的人権
見出しで初めて「基本的人権」という言葉を使いました。というか、会社のドキュメントで初めて「基本的人権」という言葉を書いた気がします。
ちょっと言い過ぎかもしれませんが、社会人を4年ちょいやってみて、組織労働をはじめとするビジネスシーンでは基本的人権が希薄になることがままあると感じています。それらはハラスメントという言葉で徐々に表面化していると思いますが、労働では「メンバーのこと、どれくらい人として見ているのだろうか……」と疑ってしまうこともたまにあります。基本的人権はあらゆる業務の前にあるべきです。もちろん、資本主義よりも前にあるべきです。
基本的人権の意識は、言葉に端々から出るものだと思います。例えば、「優秀な駒」というフレーズを聞くと、私は疑ってしまいます。一つの単語からその人の基本的人権の意識が完全にわかるわけではないですが、日々の言葉遣いの集積がその人の人権意識を表すと思います。
ただ、人権意識が低いからといって責めるべきではないとも思います。人権意識が低いことって不健全じゃない?と、共通認識が取れれば良いのかなと思います。共通認識を取る、と一言でいってもこれはとても難しく、日々対話を相互理解を諦めない姿勢を保つことが大事なのかなと感じます。その上で全体の正しさを導いていければ良いのだと思います。(犯罪になっていたら話は全く変わります)
価値観もバックグラウンドも違う人がたくさん働く環境では、完全な認識が揃うことはないはずです。大事なのは認識を一つにすること、ではなく、認識を近づけるための努力を惜しまないこと、だと感じています。
人として尊重し合うのは、すごく難しいことなんだと、思います。
立場の上下と人の上下を分別する
組織には立場があり、等級があります。管理職という言葉があり、現場レイヤーという言葉があります。
業務において、等級が上の人の方が力があります。権力と言って良いかもしれません。可視化されづらいですが、組織内の立場というものは思っている以上に力関係の差を生んでいるという感覚があります。
なので、同じ発言をした時に等級が違えば意味合いが違う、ということは頻繁に起こります。例えば「なんでそれができないんですか?」という質問を、初めて業務にアサインされた人がするのと経験豊富な幹部がするのではまるで圧が違います。意味合いが違うくらいなら良いですが、ときにそれが暴力になることもあると思います。
(業務における話ですが、)力を持つ者は力を自覚し、無邪気さで他者を殴らないようにする努力が必要だと思っています。大人同士でハイタッチするのと同じ強さで赤ちゃんにタッチする人はいないはずです。大人は赤ちゃんより力があるからです。格闘家や武道家のような、物理的な力を扱う職業であればこれはわかりやすいですが、我々の業務に物理的な暴力は存在しないため(ないと信じて書いてます)、難しさがあります。
組織における自分の立場(≠人の上下)を正しく自覚することが心理的安全性の確保には大事な気がしています。「誰が何を言っても責めない」というルールが明文化されたからといって心理的安全性は担保されません。これが暗黙の了解として認識されて初めて担保されるのだと思います。ルールは本質ではないと感じています。まずは自分の立場を知ることが暴力が減る一歩目につながるのではないでしょうか。
ただ、立場の上下があっても人の上下はないです。ここは徹底的に、それこそ4秒に7回くらい頭に刻みながらやっていかないと分別できないくらい、曖昧だと思います。でも絶対に諦めたくないという気持ちはあります。
フィードバックについて
まず、その人のキャリアを決めるのは本人である・まだキャリアが定まってなくて一緒に考えるような場面でも主体は本人にあるという前提が最初にある気がします。
キャリアというのは仕事に限った話ではなく、人生を通して歩んでいきたい道を指しています。「特にやりたいことはないから、生活のため」とか「とにかく楽に稼ぎたい」とかも立派な道だと思います。
その上でFBが本人の自己実現に関わる内容であれば健全でしょうし、全く関係ないことを長々FBするのは不健全だと感じます。全てを正しく判断するのは難しいですが、本人の自己実現としてとくに望んでいない内容の場合、指摘ではなく提案のトーンで話すのが健全に思います。
もし仮に、本人の目指したいキャリアと関連性が薄い内容について「(指摘する側のものさしで)必要だ、あるべきだ」と判断して言及するのは、指摘する側のエゴと言えるかもしれません。
もちろん、どんなキャリアでも必須とされるようなビジネススキルなどは例外だと思いますが、その場合FBする側が「これは〇〇さんにも必要だと思っているから言いますね、」と明言するのが心理的安全性につながる気がします。
FBする側・される側でこの認識をなるべくずらさないために、また、上記で書いたことが絵空事にならないために、両者の間で日頃からしっかりと対話する必要があると感じます。
その対話が成立するためには、キャリアを素直に開示できる空気・まだ定まってないキャリアを相談できる空気(≒心理的安全性)が必須なのではないでしょうか。
終わります
「咀嚼」なので締まらない終わり方でも許されると信じつつ、終わります。
引用の嵐
調べてみて印象に残ったフレーズを置いてあります
例えば、「相手を尊重しながら対等に自分の意見や気持ちを伝えよう」と従業員に呼び掛けたとしても「この職場には、そんなかけらもない」と誰もが思っていたら、何にもならない。新人を迎えるにしてもそうだ。全員で新人をサポートしていこうという共通した認識があってこそ、「心理的安全性」を高めていける。
誰にどのような発言をしても罰せられないという「ルールが決められていること」ではありません。誰にどのような発言をしても罰せられない「雰囲気」「暗黙の了解」のことをいうのです。心理的安全性を、単に仲が良いこと、あるいは罰せられないというルールを決めることと誤解しては、本来の目的からかけ離れてしまう可能性もあります。
心理的安全性(psychological safety)とは――「ぬるま湯」ではない、おさえておくべき意味を解説 - 『日本の人事部』
研究によれば、心理的安全性には仕事の内容や組織の形態にかかわらず、リーダーの心理的安全性に対する意識がどの程度のものなのかが、チームの心理的安全性に影響を与えるとしています。それ以外にも、心理的安全性を高めることで、チームが向いている方向が共有されやすくなったり、有機的な活動がしやすくなったり、パフォーマンスが上がったりするという研究もあります。ただし、日本での研究はまだ十分ではありません。日本において心理的安全性がもたらす価値は、これから明らかになっていくでしょう。
Edmondson, A. C., Higgins, M., Singer, S. & Weiner, J. (2016). Understanding psychological safety in health care and education organizations: a comparative perspective. Research in Human Development, 13(1), 65-83.
心理的安全性(psychological safety)とは――「ぬるま湯」ではない、おさえておくべき意味を解説 - 『日本の人事部』
Google のリサーチチームは、最も根本的なレベルとして「ワークグループ」と「チーム」の区別を試みました。
ワークグループ: 相互依存性が最小限という特徴があり、組織または管理上の階層関係に基づいています。ワークグループのメンバーは、情報交換のために定期的に集まる場合があります。
チーム: メンバーは相互に強く依存しながら、特定のプロジェクトを遂行するために、作業内容を計画し、問題を解決し、意思決定を下し、進捗状況を確認します。チームのメンバーは、作業を行うために互いを必要とします。
チームの効果性を測る為に最も重要な指標としてマネージャーが挙げたのは、売上高やサービスの立ち上げなどの「結果」でした。これに対しチームメンバーは、「チーム内の文化と風土」が最も重要であるとしています。チームリーダーの意見はちょうどその中間で、当事者意識やビジョン、目標など、大局的な問題と個人的な問題の両方を挙げていました。
「このプロジェクトの目標は何ですか?」などのように、ごく基本的な質問をするときのことを想像してみてください。「そんなこともわかっていないのか」とあきれられることへの不安を覚えるのではないでしょうか。無知だと思われないように、質問をせずにやり過ごそうとする人も少なくないはずです。
以下に示すのは、Google のリサーチチームが発見した効果的なチームに必要な振る舞いを促すために、マネージャーやリーダーができることへのヒントです。これらのヒントは、外部のリサーチ結果と Google 自身の経験に基づいています。
心理的安全性:
- チームからの意見やアイデアを求める。
- 個人的な仕事の進め方の好みをチームメンバーに伝え、チームメンバーにも自分自身の好みをチーム内に共有するよう促す。
- 心理的安全性についてのエイミー エドモンソン氏の TEDx Talks*1 を観る。相互信頼:
- 各チームメンバーの役割と責任を明確にする。
- 各メンバーの仕事に透明性をもたらす具体的なプロジェクト計画を策定する。
- 誠実さに関するリサーチ研究*2について話し合う。構造と明確さ:
- チームの目標を定期的に周知し、目標達成のための計画をメンバーに理解させる。
- チームでミーティングを開く際には、明確な議題を設定し、リーダーを指名する。
- チームの仕事を整理する「目標と成果指標(OKR)*3」の導入を検討する。仕事の意味:
- チームメンバーが効果的に行なっている取り組みに対して好意的なフィードバックを提供し、メンバーが課題に直面している場合には手を差し伸べる。
- 誰かが自分を助けてくれた場合は、メンバーの前で感謝の気持ちを伝える。
- 目的意識に関する KPMG の事例*4を読む。インパクト:
- 各チームメンバーの仕事が、チームや組織の目標達成に貢献するような明確なビジョンを共同で策定する。
- 自分またはチームの仕事がユーザーや顧客、組織に与える影響をよく考える。
- ユーザーの目線で物事を評価する仕組みを導入し、ユーザーに焦点を当てる。
