無知蒙昧なセンテンス

その辺の社会人が色々なものの言語化を試みる場です。

行動経済学に触れてみました

どうも。

 

先日ノーベル賞の発表がありましたね。今年も村上○樹さんは文学賞の受賞を逃してましたね。まあ特別好きな作家というわけでもないので至極どうでもいいんですけど(笑)

文学賞はまあいいとして、テレビでノーベル経済学賞の発表を見てた時におっ!って思っちゃいまして。テレビ曰く、今年のノーベル経済学賞を受賞したのはリチャード・セイラ―氏という人で、その内容が「行動経済学の発展に貢献したこと」らしい。そしてこの行動経済学というのは人間の心理に基づいた行動を考慮して経済に活かす、みたいな学問らしく、このニュースを見てなんか面白そうだなって思ったんです。とはいえ今まで経済学を学んだことなんてなく、(さすがに経済学の知識0だと行動経済学の本とか読んでもわからないだろうなぁ…)って思ってなんとなく気にはなるものの特に何もしてませんでした。

 

それが、最近知り合いの方から、経済の知識がなくても読める行動経済学の本があるよ!っていう情報を聞きまして、じゃあ一冊読んでみようってことで、読んでみました!

 

てなわけで、読んだ本がこれです↓

 

 文庫本で、中身も専門用語がほとんどなくて(あってもちゃんと説明がある)特に調べたりせずに読めました。ただ、文庫本だから2~3日で読めるかな~と高をくくっていたのですが結構分量が多くて(割とギッシリ文が詰まってて400ページ以上ある感じ)、10日くらいかかっちゃいました苦笑

思ったより学術的な内容で、かといって何も知らなくても楽しめるようになっていて、この記事のタイトル通り行動経済学に「触れてみる」のには最適なんじゃないかと思います。以下、ほんの少し内容に触れていくので、見たくない人はブラウザバックなりなんなりしちゃって下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この本は、一貫して「従来の経済学では人間は常に合理的な生き物で、利益が最大になるように行動するとされている。しかし、現実には人間は不合理な行動をとることが多々あり、それらの行動は突拍子のないものではなく規則的で予想可能なものである。行動経済学ではこうした不合理な行動に焦点を当て、これを考慮にいれ、経済学に修正を加えようとする。」といった主張が軸に存在しています。本書は15章からなり、各章ではこの軸にそって人間の不合理な行動の様々な例を著者の行った多くの研究と共に紹介し、そこに潜む人間の心理や改善策を説明しています。

 

具体的には、次のような例があります。

今までスタバでコーヒーを買うのは高すぎると思っていた人がどうしてもコーヒーを飲みたくなったとします。いつもなら自販機やコンビニで缶コーヒーを買うところなのですが、この時は近くに自販機やコンビニがなく、周りでコーヒーを売ってそうなのがスタバしかありません。そこで仕方なくスタバでコーヒーを買い、飲みました。飲みたくて買ったのでもちろんおいしく感じ、高いながらも満足してスタバを去ります。その一週間後、また同じ場所コーヒーが飲みたくなり、再びスタバでコーヒーを頼み、今度も満足します。すると、これ以降スタバを見かけた時は過去の自分の経験に従って行動するようになり、コーヒーを買うたびに自分が好きでそうしているのだという思いが強くなり、徐々に値段への抵抗がなくなってスタバでコーヒーを買うのが習慣になっていきます。こうして値段に抵抗がなくなってくると、今度は近くにコンビニや自販機があっても平気でスタバに行けるようになってしまいます。これは最初の頃には決してしない行動であり、経済学的な見方(ここでは、より安いコーヒーを買う方が合理的であるという見方)をすれば不合理な行動だと言えます。(※本にかかれていた内容を多少変えて書きました)

 

本書の中にはこれ以外にも様々な状況での不合理な行動の具体例が述べられており、我々がいかに合理的でないかがよくわかります。

個人的な印象として、著者がもともと認知心理学を専攻していたからなのか経済学的な要素よりも心理学的な要素が強かった感じがしました。(そもそも心理学も経済学も学んでないのであくまでイメージですけど) 章によってはそこで書かれている心理状態が経済学的な話にどうつながるのかイマイチつかめないような部分もありました。とはいえ各章に著者が行った実験が書かれていて人間の心理やそれに基づく行動が実験によって裏付けされているので、内容は論理的でしっかりと納得できました。

 

とまあ本自体の感想はこんな感じなのですが、前提知識がなくてもちゃんと行動経済学に触ることができたんじゃないかなあ、と思います。この一冊で一通り満足できたので、行動経済学をさらに勉強することは今のところ考えてません。

あと、行動経済学の知識や考え方は統計的な分析をしている時にも活かせそうな気がしました。データの因果関係を考察する際に「人間の不合理さ」という視点を考えてみることで、新しい角度からデータを捉えることが可能になると思います。また、学問のスタンス・考え方という面でも、行動経済学は非常に現実的な捉え方をしていて、最適化やモデル化といった統計学的な考え方だけだと見落としがちな物事に気づけるようになるのではないでしょうか…?

 

 

これくらいですね。では。